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俺は今、屋上にいる。
俺はついに前のループ時にその手掛かりを発見した。
そいつの手掛かりとは、安藤奈津。
俺のクラスメートだった。
俺がその発見、確信に至った経緯は、簡単なことだった。
ループするには、それ相応の出来事……つまりループする必要が出てくるような悲劇や失敗が必要となる。
そして、今日という1日の中で何らかのアクションを起こしていたのは安藤奈津だけだった。
安藤奈津の起こしたアクションは……自殺だった。
何が理由かなんかは知らないが、自殺するには相当な理由がある。
つまり、ループさせたのは……。
安藤奈津が自殺を後悔し、ループを起こしたってのはナンセンスな答えだ。
よって、ループさせたのは……。
「あなただよね?垣根くん」
そう犯人は垣根くんだ。
垣根くんは、安藤奈津の唯一の友達だ。
いや、もしかしたら恋人だったのかもしれない。
いつも、安藤奈津の側には垣根くんがいた。
「ハハ……バレちゃったか」
垣根くんは、ゲッソリとした表情で笑った。
教室にいるときは、いつも俯いて、孤立していたから分からなかったけど、目の下には隈が出来ており、頬はこけていた。
垣根くんは、そのまま今にも飛び降りそうな安藤奈津を一目見て、薄く笑った。
「これで丁度、111回目だ。これも何かの節目なのかもしれないね」
ループを111回も垣根くんは起こしていた。
111回も同じ日を経験するなんて正気の沙汰じゃない。
それ程、ループに執着していたのか……いや、安藤奈津に……か。
「そうだよ、僕がループを起こしていたんだ……安藤奈津を自殺させないために」
そして、垣根くんは語り始めた。
僕と、安藤奈津は似ていた。
顔とか、性格とかそんなものじゃない。
在り方が似ていたんだ。
何にも頼らず、期待せず、ましてや他人との関わりなんてせず……ずっと一人で生きてきた。
同じ人間だから一目で分かった。
彼女は、死にたがっていると……。
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