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駅に着きドアが開いた瞬間
出入りする人がドア付近に
いるにも関わらず
銀髪の男は痴漢男を
車両から背負い投げで
投げ飛ばしたのだ
黒髪のサラリーマンは
ぽかん…と小さく口を開け
微かに目を見開いていた
投げ飛ばされた男に
ぶつかることはなく
怪我人はいなかったが
周りの人もざわつき始め
その気まずい空気の中
銀髪の男は痴漢男に
歩み寄った
黒髪のサラリーマンは
「おい!」
と相手に呼び掛けたが
銀髪の男はそれを無視し
痴漢男の目の前でしゃがみ込む
何しやがんだと
男が怒鳴りかかった時
銀髪の男は痴漢男の胸倉を掴む
いくらなんでも
やり過ぎだと思い
駆け寄れば銀髪の肩を掴み
「やめろって!
助けてくれたのはありがたいが
何もそこまで…っ!!」
俺がそういうと
銀髪は胸倉を掴まれ怯えて
震える痴漢男を
まるで俺に従うかのよに
胸倉から手を離した
その直後
痴漢男は逃げていった
それと同時に俺の心は安堵した
その時だった
電車のドアは閉まり
二人を残して
行ってしまったのである
最悪だ……
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