第一章 地獄

38/44
前へ
/273ページ
次へ
案外、すぐに足が床に付き、和真は楽々着地した。 岩でできた狭い廊下を少し歩くと、空間が急に開けた。 和真は目の前の景色に息をのんだ。今まで見てきた何よりも美しい景色だった。 部屋中に散りばめられた、輝く石。それぞれが激しく乱反射して、部屋を天のように明るくしていた。 そして、部屋の中央には、小さいが不気味な塔がひっそりと建っていた。和真は歩を進め、塔に近づいた。岩のブロックでできた、頑丈そうな黒い塔。アーチ状の入り口があり、中には何もないようだ。
/273ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加