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「海斗~!新しい方来たよ!」
バンッ!!
嬉しさのあまり激しく開けたドアが壁に勢いよくぶつかる。
机に座っていた海斗は、呆れた顔をしてため息をついた。
「…遊里、お前は屋敷を壊す気か?」
「ご…ごめ…。あれ、今から出勤?」
机に広げられてあったはずの書類の山は消え、代わりにパンパンになったビジネスバッグが置かれている。
今日は新しい人が来るから休みとったって言ってたのに…。
「ああ。ちょっとトラブルがあったらしい。…その二人か?」
私の後ろを指差しながら海斗が言った。
ああ!
そうだ本来の目的!!
私は慌てて二人を紹介する。
「メイドの茜さんと庭師の拓海君で~す!」
「「よろしくお願い致します旦那様。」」
深々と頭を下げた二人を見て海斗が一瞬眉をひそめた。
…あれ?
なんか気に入らなかったのかな…?
しかし海斗はすぐに小さく微笑み優しい声を出す。
「ああ、よろしく頼む。…じゃあ行ってくるよ遊里。」
「うん、頑張ってね海斗。」
いつものようにいってらっしゃいのキスを交わす。
だけど少し…いつもより長いような気がした。
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