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「旦那様とケンカでもなさったんですか?」
あまりにも優しいその声に、一気に涙が溢れてきた。
大平さんは足元にしゃがみ込み私の手を握ってくれる。
ただそれだけで、救われた気がした。
私には味方がいる。
こんなに優しい人が、私を心配してくれている。
……上等だわ!!
海斗がそのつもりなら…海斗が謝るまで私からは絶対謝らない!!
海斗だって少しは反省しなきゃ!
急に強気な気持ちになり、私は涙を拭った。
「…大平さん、私、今日から毎日この部屋で生活します!!」
「はいかしこまりまし……えっ!?」
目を丸くした大平さんがポカンと口を開ける。
それにもかまわず私はトレイに乗ったままの朝食を自分の方へ引き寄せた。
「お…奥様?そんなことをしたら…仲直りが難しくなるのでは…」
「海斗が謝るまで戻りません!!」
言い放った私に、大平さんはオロオロしている。
しかし、私が本気だと感じたのか。
慌てて支度をしに部屋を出て行った。
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