触れられない距離

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海斗が仕事から帰宅する時間になり、いつものように出迎える為玄関に向かう。 やっぱり、お見送りとお出迎えはちゃんとしとかなきゃ。 しかし、既に玄関前には茜さんが立っていた。 あれ…前にしなくて良いって言ったはずなのに…。 そう思いつつ近づくと、茜さんは私を見て目を丸くする。 「奥様…」 「茜さん、お出迎えなら私が…」 「いえ…あの……」 続きを言いにくそうに俯く茜さん。 私は何か嫌な予感がして茜さんに尋ねた。 「何か?…あの…はっきり言って下さいね?」 「…はい…。旦那様が…奥様の顔は見たくないから、お見送りもお出迎えも茜だけで良いとおっしゃって…」 「!?」 凄まじい衝撃だった。 海斗からの拒絶。 顔も見たくない…? 体が固まって、言葉すら出て来ない。 これは、ただのケンカじゃないの? きっとすぐに仲直り出来ると思っていた。 使用出来るよう用意されたベッドも使う事なく、今夜には二人で眠れると。 …なのに、事態は私が思っているよりも深刻だったというの?
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