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真っ暗な部屋に戻り。
入って来た車を眺める。
…海斗…。
車から降りてきた海斗の姿に何故か涙が溢れた。
すかさず茜さんが駆け寄りバッグを受け取る。
昨日までは、あれは私の役目だったのだ。
屋敷の中に入ってきた海斗は私の部屋の前を通る。
その時に思いきって飛び出していこうか。
飛び出して、きちんと話しを…。
―――顔も見たくない
そう…思われているのに…?
海斗はどんなに怒ってもそんなこと言った事なかった。
今回は本気で怒っているのだ。
私は…何も悪い事なんかしてない。
ただ海斗を愛しているだけ。
拓海君との事だって、海斗を裏切ってなどいないのに。
だけど……海斗に拒絶される事がこんなにも辛いなんて。
いつも海斗が求めていてくれたから気づかなかった。
カツカツ…
ドアの向こうに、海斗の足音がする。
同時に…茜さんの明るい声も。
……このドアのすぐ向こうに…海斗がいるのだ。
そっとドアに触れ。
手を握りしめた。
こんなに近くにいるのに…こんなに愛しているのに…。
あなたに触れられないなんて
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