6345人が本棚に入れています
本棚に追加
/78ページ
「…そもそも、別れるよう仕向けてるのはお前じゃないのか?」
淡々と続ける海斗に、私は振り向く事が出来ない。
久しぶりに聞いた生の海斗の声。
ただそれだけでこんなにも幸せになれるのに…何故私が別れるよう仕向けるというの?
「拓海にヘラヘラと愛想を振りまいて…良い仲だと言うじゃないか。…俺の見送りや食事もほったらかして行くくらいだから…さぞかし深い仲なんだろうな?」
「!?」
何…?
海斗は…海斗は私を全く信じてくれていない。
私が好きなのは。
愛してるのは…。
悲しみで頭が真っ白になり、私は怒りに任せて口を開いた。
「冗談じゃないわ!…海斗こそ、茜さんにベタベタ触らせて…私以外に触られるのは嫌だとか言ってたくせに!!…もう寝たんでしょう?茜さんが大平さんにこっそり相談してるの聞いたんだから!!」
「な…に?茜が?」
大きく開かれた瞳に、ハッとする。
海斗のこの顔は…本当に困惑している顔だ。
でも茜さんは確かに昨日大平さんに相談していたのだ。
『旦那様と一夜を共にしてしまった。好きだと言われた』と…。
最初のコメントを投稿しよう!