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乱暴に遊里の足を開いた拓海が、俺を睨んでいた。
「やぁあ!!!やだぁ!!」
抵抗しようと遊里が抗う力すら容易に抑えこみ、拓海が遊里の胸に舌をはわせる。
「ひ…やぁあ…!!」
遊里の悲痛な叫び声が俺の耳を貫く。
怒りは、俺の体の血全てを一気に頭へと上らせた。
動けない体を無理やり動かし、鎖がどんどん体に食い込む。
その瞬間、遊里と目が合った。
「……」
遊里の泣き顔。
何度も見ているはずなのに、それはいつもの泣き顔ではない。
「遊里…?」
何かを覚悟したような、そんな悲しい瞳だった。
その瞳に俺は咄嗟に呟いていた。
「…諦めるな遊里。」
「拓海!さっさと挿れなさいよ!!」
苛立ちを隠せない茜の声が荒々しく響く。
「遊里…言うんだ。」
「…え?」
「俺を、愛していると言え。」
真っ直ぐに遊里の瞳を見つめ、祈るように言った。
遊里は目を見開いた後。
小さく微笑む。
「…海斗…あなただけを、愛してる。」
震える声で告げられた言葉が俺の胸を熱くした。
ただ愛してると言われただけなのに。
体中から力が溢れるような。
「…上出来だ遊里。」
片方の口の端だけを上げ、俺は笑った。
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