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「拓…海が?…私を?」
茜さんは信じられないとでも言いたげな瞳で拓海君を見つめる。
拓海君は困ったように笑った後、茜さんを抱き寄せた。
「た、拓海?」
「…茜は鈍感だからなぁ…。お前が幸せになれるならそれで良い。そう思って協力したけど、やっぱり…無理だ。」
絞り出すように話す言葉が苦しそうに響く。
茜さんはただ目を丸くして固まっていた。
「…お前達は、親に見捨てられ…愛なんて信じられないのかもしれない。だけど、ずっと側にいた拓海が茜を思っているなら…試しに信じてみるのも良いんじゃないのか?」
諭すように言った海斗は、優しい瞳で二人を見つめる。
しかし、茜さんは小さく首を横に振った。
「茜さん…」
「ダメ…ダメだよっ…だって私、わかんないもん!」
混乱したように震える声で叫ぶ。
「茜さん?」
「愛する事がどういう事なのか…わかんない。私はずっと愛のないSEXしかしてこなかったから…誰も愛してこなかったから…わかんないよぉ!!」
そのまま泣き崩れた茜さんを、拓海君は今にも泣きそうな顔で見ていた。
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