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「あ、茜?入っても良いか?」
浴室のドアをノックする音がする。
「…うん。」
ガチャ。
入ってきた拓海の瞳は、微かに潤んでいる。
「……」
何を話して良いのか分からない様子で俯く拓海に、私はそっと頭を預けた。
おでこを拓海の胸につけると、鼓動が伝わってくる。
「…あんなに深い愛がこの世にあるなんて思わなかった。」
「…だな。」
「…ねぇ拓海。私達も、もう一度だけ…愛を信じてみない?」
言うと拓海がクスッと笑った。
「…俺も同じ事言おうと思ってたよ。」
顔を上げると優しく微笑む拓海の顔。
「じゃあまずはドアを閉めて…」
拓海が後ろ手にドアノブを掴む。
顔が近づいてくるのと比例して、私の心臓が高鳴った。
「…愛あるキスから始めようか。」
パタン…
ドアが閉まるのと同時に、私達の唇は激しく絡み合った。
愛あるSEXは、今までしてきたSEXなんかと比べものにならなかった。
拓海の全てが愛しくなり、胸が締め付けられるように切なくなる。
だけど、合わせた肌の温もりに…思わず涙が出た。
後日旦那様からの電話でまた結城家に勤める事になったのは…また別の話し。
END
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