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きつく縄で締め付けられた両手首。
頭の上で、それはさらにベッドに括りつけられている。
薄暗い部屋。
ここは…元の私の部屋だった。
海斗と初めて抱き合った場所でもある。
何故私はこんな所で縛られているのか。
それも、全裸で。
両手首が痛い。
だけどそれより、私は恐怖で動けずにいた。
「お願いだから…どいて…」
震える声で言う。
私の腰の辺りに跨る、大柄の男に向かって。
「…」
一瞬、暗闇の中で男が笑った気がした。
海斗と激しく抱き合った翌日。
私は朝からワクワクしていた。
今日は新しい住人が増えるのだ。
住み込みのメイドと庭師。
どんな人がくるのかと気になって仕方がない。
大平さんが今迎えに行ってるから…そろそろだと思うんだけど。
ガチャッ。
その時扉が開く音がして、私は目を輝かせて振り返った。
「奥様、連れて参りました。」
頭を下げる大平さんの横に立つ、大柄の男と可愛い女の子。
私は二人を交互に見て微笑む。
「初めまして!妻の遊里です。よろしくお願いしますね。」
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