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「たく、右往左往と忙しいやつだな」
俺はやれやれと小さな溜息を吐く。
「何なんでしょうね大切な話って?」
隣にいた遥香が俺の顔を覗く様な形でこちらを見る。
「さぁな。どうせ幽霊が出たとか、怪奇現象がどうとか、そんなところだろう」
最近の俺は幽霊が出たとか、怪奇現象が起きたとか、そんな話を聞いても驚く事も無くなってしまった。
まったく、慣れっていうのは恐ろしいものだな。
「また裏山を登ったりするんですかね?」
遥香はくぐもった声で言う。そういえば、山登り苦手だったんだっけ?
「どうだろうな。まぁ、行ってみれば分かるだろ」
「山登りは嫌です・・・」
「あははは・・・」
俺は苦笑いを浮かべながら遥香と共に桐野の席に向かう。
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