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それから、北谷と安田は帰ってしまい、教室に残されたのは俺と遥香の二人だけであった。
「城哉君・・・帰りましょうか」
俺は黙って首を縦に振った。
夕暮れの帰り道、夏とさほど変わりなく西日が照り続け、町並みを綺麗な朱色に染めている。
俺はそんな帰り道を遥香と共に歩く。
「なぁ、遥香」
「何ですか?」
「お前はさっきのアイツらのやり方どう思う?」
その質問に遥香は少し考えてから答える。
「あまり良いやり方ではありませんね。だけど、北谷君達も色々と考えた結果、あんな行動をとったのではないんですか?」
「まぁ、そうかもしれないな」
遥香の見解は正しい。だが、これでみんなが桐野の元を去って行ってしまったらどうなるんだろう?
俺はアイツの本性を知っている。いつも明るく振る舞い、元気な自分をみんなに見せているが、内面はとても繊細だ。
自分の問題を人には相談せずに自らで解決しようとし、更に他人の問題にまで首を突っ込み、周囲からは厚いプレッシャーを掛けられている。
そんな中で、桐野はストレスを発散させるためにゴーストバスターズを作った。
しかし、そんな桐野を支えているゴーストバスターズが失くなってしまえば、桐野は一体どうなるのだろう?
そんな事、想像もしたくないな。
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