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｢拉致って言っても、ただ強制的に連れてくるだけじゃ駄目だぜ｣
ニヤニヤと悪い笑みを浮かべる桐野。
何か本物の誘拐犯の様に見えてきたのは俺だけだろうか･･･。
｢相手の弱みをガッツリ握って連れて来る。これが絶対条件ってやつだぜ｣
｢それってもはやただの脅迫じゃねぇか｣
｢･･････、じゃあそれでいいや｣
｢いいのかよ！｣
｢とりあえず！何が何でも残り二人を勧誘すること！いいね？｣
｢お、おう｣
桐野の勢いに圧倒され、俺は思わず返事をしてしまう。
行くぞ～、と桐野は教室のスライドドアをピシャリと開け、暴走していった。
大丈夫だろうか、と一抹の不安を抱えながら、俺は勧誘する相手を思い浮かべる。
北谷も駄目、安田も駄目とくると･･･俺には思い浮かぶ人物は一人しかいない。
｢まっ、アイツなら一人くらい誘って来れるよな｣
俺は僅かに桐野に期待しながら、教室でとある人物が帰って来るのを待った。
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