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しばらくして、桐野の開けっ放しにしたスライドドアから一人の女の子がやって来た。
「やっと帰って来たか」
「もう最悪ですよ。この前の公民の小テスト、ニ〇点取っただけで無茶苦茶怒られましたよ」
ぷんすかとテスト用紙をグチャグチャにしながら遥香は口を尖らせて言う。
遥香はどちらかと言うと勉強は苦手ではない。むしろ得意分野であって、英語であろうが数学であろうが出来てしまう天才だ。
だが、一つだけ欠点なのは彼女は社会の、特に公民が苦手らしい。
彼女曰く、興味がないから学ぶ意欲が出ないと。
「まぁ、良いじゃねぇか。俺なんかこの前、漢字のテストで三点を取って怒られるどころか呆れられたぜ」
「それは酷過ぎます」
「あれっ?ちょ、励ましてくれないの!?」
「励ますレベルにも達してませんから、励ましようがありません」
結構酷い言葉を俺に雨霰の様に言った遥香だが、もちろん、俺は遥香の悪口を聞いてへこたれたりなんかはしない。
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