天月 梨音

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何度か断ったものの結局僕の隣をへらへらしながら歩く先輩。 ……告白されてから何分もしないうちに他の男とツーショットですか。 「……さっきの男子はどうしたんですか?」 「え?あ、見てたの?」 「いや、不可抗力と言いますか……」 別に好きで見ていた(というか聞いていた)わけではない。 ……まぁ本人は全く気にしてないようだけど。 念願のゴミ捨て場に到着して、やっとこさゴミを処分している間もヘラヘラしながら僕の周りをうろつく先輩。……何がしたいんだ? 何となく黙ってるのは悪いかなと思い、とりあえず会話をしてみる。 「先輩、この前までの彼氏はどうしたんですか?」 ……我ながら酷い話題チョイスだ。 でも先輩は嫌な顔1つせず、ヘラヘラ顔のまま答えてくれた。 「あーたくちゃんね?もう付き合ってないよ。 一週間前くらいだったかなあ」 何の抵抗もなくさらりと言ってのける先輩に落ち込む様子は全くない。 ……何故なら日常茶飯事だからだ。何度も告白され、そのたびに付き合って、何ヵ月としないうちにあっさり別れてしまう。 そういう人なんだから仕方ない。 そんなことを繰り返すくせに“軽いチャラ女”なんて噂は一切たたないのが不思議だ。
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