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久しぶりに飲みに行きたいなんていうから何事かと思えば彩のやつ、今日は奢らせてやるんだから。
「でもでも、絶対悪い話じゃないと思うよ?週三日、2時間くらいでいいから、葉雪の卒論にも響かないし。家だって葉雪のマンションから車で5分!」
運ばれてきたビールを私に手渡すと、彩は言い訳がましく付け加えた。
「だからって私の知らないところで話進めるのどーかと思うんですけどー。」
ビールを一口飲んで枝豆に手を伸ばす。
うん、この組み合わせってやっぱり最高。
「だからそれはごめんって!親御さんすごく困ってたし、そのコも一生懸命志望校にむけて頑張ってるからどうしても力になってあげたくて…ね?わかるでしょ?」
両手を合わせて申し訳なさそうに話す彩をみて、あぁこの娘は頼まれたら断れないんだった、と我が友の性格を思い出す。
だがしかし。
それはそれ、これはこれ。
生憎私「藤村葉雪(フジムラハユキ)」、そんなに心優しい部類の人間じゃなくってよ。
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