第一章~恋の始まり

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私、藤田 杏は最高に幸せです。 「沙織ーおはよう!」 教室に入るなり、親友の沙織に抱きつく。 「なに、杏……朝から会えた?」 「うんうん!校門入ったら、ちょうど職員玄関に向かってて『おはよ』って言ったら『はよー』って!」 たったそれだけのこと。 人として常識の挨拶。 たった一言の挨拶でも、朝から一目見れただけでも私の心臓は、ドキドキ鳴って、幸せな気持ちになる……。 恋……しちゃったんだ……。 何でもなかった毎日がキラキラして。 何でもなかった景色が色鮮やかに見えて。 そして―――― 自然に笑顔が出るようになって……。 私が恋する相手は、数学の先生。 佐伯 剛志先生……。 産休の岡先生の代わりに来た、臨時教師。 佐伯先生は、24歳。 数学の先生なのに、PUMAのジャージを着ている。 サッカーが見るのもプレイするのも大好き。 応援しているチームが勝つと授業のあと、嬉しそうに話す。 先生のこと、少し知れるだけで、特別な生徒になれた気がして、嬉しくなっちゃうんだ。 もっともっと、先生の話が聞きたい。 一秒でも、一緒に居たい。 私の全てが、そう叫ぶ。 私の全てが、貪欲にそう望む。 .
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