第一章~恋の始まり

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ある日は、学校の外で見かけた。 ある日は、更衣室で歯ブラシを銜えたまま、急いでネクタイを絞めてる姿を見かけた。 私の数学のノートは、先生日記。 先生のジャージの色 スーツの色 ネクタイの色 しぐさ 寝ぐせ 笑顔 いろんなことを、ノートの端っこにメモメモ……。 今日もまた、先生日記のページが増える。 先生との時間を、忘れぬように。 先生との時間を、永遠に保存するように……。 「今日数学あったっけ?」 沙織は眠そうな顔で、教室に貼ってある時間割を見た。 「あるよ、あるある!5時間目」 「……時間割見るより、杏に聞いたほうが早いや」 沙織は呆れたように、やれやれ、と笑った。 そんな沙織に、ピースサインを出し、にんまりと笑顔を向ける。 私は数学が大嫌いだった。 数学なんて四則演算さえできれば生きていけるじゃん。 xがなんちゃら、yがなんちゃらなんて、難しいことやらなくたっていいじゃん。 それが、私だった……。 テストは赤点ギリギリ。 でも、買い物出来るもん。 料理の分量だって、完璧だもん。 でもね、それが……変わったんだ。 .
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