鈴蘭

2/2
前へ
/46ページ
次へ
フラワーショップ 『Whiteberry』 朱杜の働いている店の名前だ。 店の中でくるくると動き回る朱杜は さながら美しい蝶のようだ…… 朱杜が本当に蝶なら 捕まえて標本にして その可愛さを 可憐さを いつまでも俺の近くにとって置けるのに……… 「いらっしゃいませ」 朱杜が話しかけてきた。 「よくいらっしゃいますよね。お花好きなんですか?」 朱杜が俺に声をかけた…… なんて可愛い声なんだ。 「今日は何を?」 そんな朱杜の問いに言葉で返さず 1つの花を指差した。 「鈴蘭ですね?一輪ですか?」 静に頷くと 一輪の鈴蘭をもってラッピングをしに行った。 「はい、どおぞ♪」 渡された時に 朱杜の手に触れた…… 暖かい 「いつも鈴蘭買いますよね」 朱杜を目的に通いつめていたこの店 気づいたら 常連客になっていた。 「鈴蘭好きなんですか?」 朱杜の問いに またしても言葉でなく 頷いて答えた。 「私も好きなんですよ♪」 ………知ってるよ 知ってる…… 鈴蘭が好きな事 だから朱杜の出勤日に合わせて その日に花を買いにきてるんだよ。 花なんかぶっちゃけ 興味ないね 俺が興味あるのは 朱杜…… 君の全てだよ…… そう……… 君の…スベテ…… ククククク………
/46ページ

最初のコメントを投稿しよう!

240人が本棚に入れています
本棚に追加