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「じゃあ、君誰なの?ここで何してたの?」
こんどは質問責めですか。
「えと、2年の松本 晃(まつもと ひかる)です。
先輩のピアノを聴きに来たのですが、転んでしまいまして…」
あぁ、恥ずかしい。
ちなみに、何もないところで転んだことはゼッテー言わないよ☆
「……そう」
そう、て、他になんかないんですか!
「……私の名前は知ってる?」
知ってますとも。
「音宮 春先輩ですよね?たしか、3年の普通科の」
しまった。
詳しく言いすぎちゃった☆
「うん。詳しすぎ。どうせ、噂とかで知ったんでしょ?」
春先輩は、ふぅとため息混じりに言うと、ピアノのフタを閉じた。
「あなた、私のファン?」
何を唐突に。
んなわけ、ねーだろ!
「違います」
春先輩はふっと笑って
「正直すぎ。君、おもしろいね」
と、言った。
ちょうどその時、窓から風が吹き、春先輩の肩下までついた髪と制服のスカートのひらが風で揺れた。
俺は不覚にも、ときめいてしまった。
いや、マンガとかでよくあるじゃないか。
一目惚れしてしまったってやつだ。
「それじゃあ、早くお家に帰るんだよ。ヒカちゃん♪バイバイ」
春先輩は手を振り、俺の横を通った。
ヒカちゃんって…ちゃっかり可愛い呼び方されてるし。
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