満たされた生活

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ここは寂しいくらい、静かだった。 ぼうぼうと揺れる暖炉の火も、 ぼんやりと光るカンテラも、 埃を被るほど見ていない本棚の中の本たちも、 長テーブルの真っ白いテーブルクロスも、 銀色の皿の中の料理も、 みんな寂しげだった。 魔法できちんと整えられたお屋敷は、それはそれは快適だった。 何もしなくても隅々まで掃除されるし、ご飯は時間になればテーブルの上に置かれている。 お風呂は日毎に変わるいい匂いの大浴場に、遊具の尽きない遊戯場。 不満なんか無いはず…なのに…
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