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景色に惹かれて歩き回ってたせいか今まで人には出会わなかった。
僕はよほど人に縁が無いみたい。
(あれ…?ここ…どっちからきたんだったかな…?)
葉の落ちきった、幹の白い木の連なった道を、うろうろと動き回っているうちに方向感覚を失ってしまった。
もうどれくらい歩いたのかわからないけど、随分歩いた気がする。
足も段々重くなってきた。歩くのが辛い。
ふらふら歩いてるうちに、煉瓦造りの花壇を見付けて、雪を払って座り込んだ。
座り込むと段々考える余裕が出来てきて、不安が段々広がる。
(もし帰れなかったら…どうしよう…魔女の言いつけをやぶったし……魔女はお屋敷に入れてくれないかも…)
じわりじわり、怖くなってくる。
知らないうちに涙が溢れた。
いくら涙を擦っても停まらない。
それどころか段々涙の量は増すばかりで膝を抱えて顔を隠した。
「ねえ」
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