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「ねえ」
声…………人だ!
僕は泣いていたのも構わず顔をあげた。
やっと人に会えるんだ…!
「きみ、なんでこんな所に?」
目の前に立っていたのは、僕より二、三歳年上だろうというような少年だった。
金色の、一目でわかるほど細い髪は絹糸を連想させた。
目は虚ろげで、僕を捉えているのかすらわからない。
深い蒼の目はガラス玉みたいにキラキラ光ってる。
「きみは誰?」
あまりにも僕が口を開かないので、問い直してくる。
僕は最初上手く発音することができなくて、口をもごつかせた。
心臓がおかしいほど跳ね上がっている。
大きく息を吸い込んで、言葉を…掛けようと思った。
「ぼ、くは…僕は…お屋敷から来て…迷って…」
文法なんかあったもんじゃない。
考えずに言ったものだから、会話になっていなかった。
「お屋敷って、魔女屋敷?」
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