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待ち合わせ場所で、スザクは嬉しそうに笑った。
「良かった、髪…切らなかったんだ」
「…時間無かったから」
「それでもいいよ。綺麗だ」
殺し文句。
「仲直りの記念に素敵なところへ連れてくよ」
「私は仲直りするなんて…!!」
私がそう言うと、スザクは酷く悲しそうに目を伏せた。
それは、反則だ。
「じゃあ、最後の記念に…?」
胸が痛いよ。
連れていかれたのは、海だった。
しかも夜の。しかも真冬の。
だけど…。
「綺麗…」
「そうだろ?スズに見せたいって思ってたんだ」
また反則だ。
そんな顔で言うなんて。
しばらく二人で海を眺めていた。
「スズ」
かじかんだ指先をスザクの大きな手が温める。
「仲直りしよう」
答える前に唇を塞がれた。
反則。
イエローカード三枚目。
退場…させない。
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