警告

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友達に誘われて行ったアマチュアバンドのライブに彼はいた。 寡黙にベースを弾く彼は欲目ではなく一番に会場の目を引いていた。 もちろん私の目も。 スローモーションのように赤い髪が、揺れる。 自分の出番が終わった後、彼は観客席からぼんやりとステージを眺めていた。 「あ、ザクロくんだ」 「ザクロくん?」 「ほら、さっきベース弾いてた赤い髪の人。今日誘ってくれたのも彼なんだ。挨拶しに行こうよ」 はしゃぐ友達に手を引かれ、ビールに口をつけている彼の前に立つ。 「お、久しぶりじゃん。本当に来てくれたんだ」 「もちろんだよ、ザクロくんに誘われたんだから」 猫撫で声。 なんかあったな、この二人。 多少疎外感を感じながら、二人の会話を聞いていた。 「オトモダチ?」 不意に彼の視線がこちらに向けられる。 「そう、親友の鈴蘭。可愛い子でしょー」 なんて言ってるけど、目が冷たいよアナタ。 「ふぅん。じゃあスズちゃんだね。はじめまして」 あ、笑うと結構幼い顔になるんだ。 「はじめまして」 手と手が触れあって、思うより優しく握られた。 暑いのはきっと、夏のせいだ。 そして、心臓がドキドキと鳴るのはアルコールのせいなんだ。
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