警告

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きっともう会うことはないと思っていたのに、再会はすぐにやってきた。 サークルの飲み会で訪れたチェーン居酒屋。 3メートルはあるであろう長テーブルが真ん中で簾により区切られていて、私たちはその奥の方に通され、思い思いに騒いでいた。 「ちょっと、お手洗い」 堀ごたつから抜け出して、席を立つ。 酒よりも人に酔っていた。 外の風にでもあたろうと出口に向かって歩いていると、不意に腕をとられた。 「スズちゃん?」 「え?」 振り向き様に赤。 彼が立っていた。 「えっと、ザクロくんだっけ?」 「覚えててくれたんだ、嬉しいな」 また、幼い顔で笑う。 「今日はどうしたの?」 「あ、サークルの飲み会で。そっちは?」 「こないだのライブの打ち上げ。助っ人だったのに誘ってくれてさ。ところでどこ行くの?トイレこっちじゃないよ」 「外の風にあたろうと思って」 「じゃあ、ちょうどいいや。煙草買いに行くの付き合って」 その顔で微笑まれたら嫌とは言えまい。
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