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誰にも言えない恋だった。
私をザクロと引き合わせた(きっとザクロと何かあったであろう)友達とは同じ大学だったし、地方から上京してきた私には心から信頼出来るような友達がこっちにはいなかった。
私の心の拠り所は自然とザクロだけとなる。
「誰にも言えないなんて…」
「なんで誰かに言う必要があるの?」
そう言われてしまうと何も言えない。
「あの子と何かあった?」
「あの子って?」
「ライブの時に私と一緒にいた…」
「あぁ…」
何かあったんだね、その反応は。
「やっぱり誰にも言えないわ」
「まぁ、嘘は吐き吐かれるものだから」
あどけない笑顔で現実的なことを言うけれど。
間抜けな私を始め不可能な人種もいる。
あなたは笑顔で、嘘が吐けるのにね。
ザクロという人間が存在しないことを知ったのは、寒くなる頃だった。
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