バイオリンの申し子

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格式高いホールともなると、まず聴衆席の座り心地から違うと感じるものだ。 まるで包み込んでくれるような質の良さである。 まだ始まるには時間がある。 聴衆も少なく、散り散りだ。 待っているだけっていうのはあまりにも所在なげなので、彼について簡単な事項を見直すことにしようと思う。 彼の名前は父方がイギリス人なこともあり本名は直人 シュバリエという。 日本でのリサイタルには藍沢 直人という名前を使っている。 当人はこの名前の方が気になっているらしい。 今の年齢は十九歳。 バイオリンは三歳の頃から始めたらしい。 バイオリン歴は十六年ということになる。 六歳頃からその才能を遺憾なく発揮しだし、それを見出した名指揮者アルゼルト・リバイブールに誘われ、本格的に音楽の道に進み始めることになる。
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