ＳＵＰＥＲ ＳＴＡＲ

バイオリンの申し子

スポーツとかの話では成長期の話題が出てきやすいが、まさか音楽の世界でも出ようとは。
それとも、ただ彼が特殊なだけだろうか。
私自身どちらも未知なる世界なので、理解に及ばない。

──バイオリンの他には、何か楽器とか扱えるのかな？

｢ピアニストとの共演を見越して、昔からピアノは嗜む程度にやってますよ。
あとはフルートとか……個人的にはハンドベルが好きです｣

──ハンドベル？

意外な返答だった。
読者というのは、こういう意外性を好む。
有名人とでもなれば尚更だ。

｢あの響き渡る音色が良いですね。
心に響くというか……。
悔しいですけど、バイオリンではああいう音色は出せません｣

──それでもバイオリンを選ぶと？

｢バイオリンは僕の原点ですから。
僕の生きた証として、一生のパートナーですよ｣

なかなか良い答えだ。
良い答えすぎる。
ここはカットだ。
いや、今の答えの最後に(笑)と付けたら軽薄そうなイメージが付きそうだ。

と、ライター失格の邪な考えが浮かぶが、なんとか自制して用意していた質問を彼に出す。