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いつもすぐそばで魅せてくれる、紅。
おかげさんで、俺の左目はもう
紅しか見えねぇよ。
「……ちか殿」
………?
何だか、聞き覚えのある声が俺を呼んでる。
「元親殿」
……あぁ、そうだった。
俺は今、寝てたんだったな。
ここは、四国の土佐。
鬼の住む島、『鬼ヶ島』と呼ばれている場所。
そこに建っている土佐城を仕切るのがこの長曾我部元親だ。
(ちなみに今現在まで寝ていたようだ)
そして、その男に(何故か)膝枕をしていたの青年は、『甲斐の虎』と称されている武田信玄を敬愛している、真田幸村だった。
「元親殿、起きて下され」
「ん、あ゙ー」
そう言いながら、元親はゆっくりと体を起こした。
「よく…寝られておりましたぞ」
そう言って幸村はクスッと笑った。
「なんだ、そんなに寝てたか?」
「二~三刻ほど」
「マジか」
そんな、たわいのない会話を繰り広げられるほど平和な日になっていた。
織田信長、豊臣秀吉も死に、戦も無くなって武士も色々な方法で暇をつぶすほど静かになっていた。
「二~三年前は戦ばっかりだったからな、時間が分からなくなるぜ」
「本当で御座るな…とても、とても静かで御座る」
「まぁ、そのお陰であんたとこうして過ごすことが出来るがな」
そう言って、元親は幸村を見てニッと笑った。
「…そうですな、某も嬉しゅう御座る」
それに対抗するかのように、幸村もニコッと笑った。
「そうだ、あんたまだここにいてくれんだろ?」
「?はい、もうしばらくここにいようかと」
「ちょっとだけ、あんたに頼みたい事g「嫌で御座る」
元親が言い終わる前に、幸村は言葉で遮った。
「って、おいおい。まだ何も言ってねぇじゃねぇかよ」
余りの返答の速さに元親はツッコミざるえなかった。
「…何だか嫌な予感がした故」
「まだ、嫌なことかも分かんねぇじゃねぇかよ、な?」
「そうで御座るが……」
「まぁ、とりあえず聞いてみろって、な?」
「…分かり申した、ではその頼みとは?」
「あんた…料理作れるか?」
「……?作れないことはありませぬが、下手ですぞ??」
「作れるんならいい、作ってくれねぇか?」
「…………」
「何だよ、その『相当なモノ好きだなコイツ』みたいな面」
「いえ…大方合ってますが、語尾は『コイツ』ではなく『元親殿』で御座る」
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