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高橋幸人は欠伸をかみ殺した。頭上の時計を見ると時間は午前2時。深夜のコンビニで最も暇な時間帯である。
「早く時間になってくれないかな」
近付いてくるバイクの爆音に店の外に目をやる。ヘルメットを被った男が一人、店の前にオートバイのエンジンをかけたまま停めて店に入ってくる。幸人はボンヤリと男がポケットから出した物に目を見開いた。
「金」
男はナイフをレジカウンターに突き立てた。
「は…はい」
幸人は慌ててレジを開け札束を取り出すと男に突き出した。男は無言でそれを掴むとパッと身を翻して店を飛び出すとバイクに飛び乗って走り去った。
幸人は男が去った方角を見ることしか出来なかった。
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