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井上は自分の部屋で、女性に包帯を巻いていた。
「大丈夫か?」
「う、うん。」
「あれはなんだよ。」
「私をかばうな。死にたくなけりゃ私を離せ。」
「俺の質問に答えろ。」
井上は今までに見せたことの無い険しい表情を見せた。
女性はひとつため息を吐くと、話始めた。
「あれは白衣の魔術師の仕業なんやと思う。」
「白衣の魔術師?医者かなんかか?」
「この世界の征服を企んでいるんよ。」
「そんな漫画みたいな話…。」
眼差しは真剣だった。
「わかったよ。で、そしたら、君はその白衣の…。でもどこも白衣じゃ無いよね。」
「うん。私はその白衣の魔術師に狙われている。」
「そうか。これだけ言ったら、そろそろ名前、教えてもらえない?」
「アンナ。」
「アンナ?ハーフ?」
「うん。父親がアメリカ人で母親が日本人のハーフ。本当は両親と一緒にアメリカに住んでいたんだけど、白衣の魔術師が私の住みかを突き止めて、攻撃してきたから、それに逃れるために母親と日本にまで来た。そしたら母親が病死して、ひとりであそこに居たわけ。時々攻撃してくるから移動しながら…。」
井上はアンナの話に真剣に耳を傾けていた。
「アンナはどうして狙われているんや?」
「私も魔術師で、私の力があれば征服するエネルギーがあるんだって。でも、その力を出すためには命を捨てなければいけなかったり…。だから、私にかばうと井上が危ないから…。」
「そうか。でも、どっちにしろ世界が滅びたら、死ぬことになるだろ。だったらかっこよく死にたいじゃん!」
「ふっ。バカ。」
「今、鼻で笑った!?」
2人に笑顔が戻った。
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