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ピンポーン
2人の笑顔を裂くようにインターホンの音が鳴り響いた。
「はい。」
「よ。」
井上の目の前には画面越しに石田の姿があった。
「な、なんやねん急に。」
「久しぶりに泊まろっかなって。ええやろ。」
よりによってこんな時に…。
「すまん。今日は客が来るから無理やねん。」
「いつ来るん?」
「なんで?」
「帰ったらまた来るわ。」
「明日やったらあかん?」
「うん。今日やないといやや。明日からちょっと遠くに行くから無理やねん。せやから、今日、泊めてくれへん?独りじゃつまらんから。」
頑固として引かなかった。
仕方なく、アンナに相談する事にした。
「ちょっと待っててや。」
バタバタとアンナの元に急いだ。
「石田が、泊めろって聞かへん。」
「なんで?」
「明日から遠くに行くからって。どないしよう。」
「念のため、私がいることは言わんといてな。私はここで息をひそめとくから。」
「わ、分かった。ここに入らせへんかったらええねんな。よし。明日までの辛抱や。」
井上は急いでかけ降りた。
「石田、客に今日は来やんといてって言ったから大丈夫やで。」
「無理言わして悪いな。」
石田は井上の家に入っていった。
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