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「はー。」
大きなため息と疲れを表に出して、ドスリと腰を下ろした。
「井上、どないしたん?こんなにも遅れるやなんて。」
「うん。ちょっと寄り道しててん。」
「ただでさえギリギリやのに寄り道したらそりゃ遅れるよな。バカやな。」
「ば、バカとは…。親友に向かってバカは無いやろ!」
「親友だからこそ本当の事を言えんねんで~。」
「って本当の事やったら慰めになってへんし。」
「なんや。分かんのか。」
「分かるわ!それぐらい!」
「はいはい。」
口調は怒っているが、顔は2人とも笑っていた。
「なぁ、石田。」
「ん?」
「なんで寄り道したか、知りたい?」
「うん。どこ寄り道したん?」
「ほんなら一緒に食堂まで来てくれる?」
「なんで今ここで言わへんの?」
「いや、白い衣装にしてから、お前食欲ないと思って…。」
「別に気にせんでええのに。」
「ただでさえガリガリやのに食べへんかったらそりゃ細いわな。」
「今僕のセリフ少し変えて言ってきた!?」
「その通り。」
「もう。分かったよ。」
石田は本音うっとうしく感じた。
午後、2人は食堂にいた。井上はおにぎりをほおばっていた。
「なんで食堂まで来ておきぎりやねん。」
「朝の分。食べる暇がなかってんやからしゃあないやろ。」
「で、寄り道した理由は?」
「実はな…。」
井上は石田に今日あった話をすべてした。石田はいつもより興味深く聞いていた。
「てな訳やねん。」
「そうなんや。」
「石田。目、輝きすぎてない?」
「そうか?」
井上はいつもと様子が違うことに少し戸惑ったが、1分もすれば慣れてしまった。
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