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暦では既に春となってから一ヶ月近く経ってはいるが、まだ夜は冷え込む、寒空の下。
「お前は何か、楽しかったことはあるか?思い出は?」
冷えた夜の外気よりも冷たく、無機質な声が響いた。
月の出ていない真夜中の為、二人であろう姿はそのシルエットしか確認することが出来ない。
「お情けのつもりかよ。楽しかった事?思い出?そんなのあるわけねーだろ。俺の楽しみは殺しに決まってる」
座っているのではなく、立つことが出来ない無機質な声とは違う声が、嘲るように鼻をならした。
「どっちかと言うと、お前に殺されたモノの方が価値はあった。それが死んだ今、それ以下のお前が生きている価値はない………」
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