第14章 鳴り響く祝福と崩壊

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「リン……?」 小さく笑みを浮かべる癒しの紅蓮姫――リンが、いた。 皇帝は目を見張る。 「ほ、本当に、リンなのかい?」 嘘だと分かっているはずなのに、聞いた。行方をくらませた愛娘が目の前に、帰って来たと、口が震えた。 「はい」 「今までどこに……」 王座前の階段を降り、そこでようやく違和感に気づいた。 「ごめんなさい」 笑みを浮かべたり、申し訳なくシュンとしたりするだけで、まるでこっちに来ようとしない。 扉を背にしたまま、立っているのだ。 一度立ち止まって、怪我でもしたのかとよく観察してみると―― 「リン……帰って来てくれたのは嬉しいが――――後ろに隠している鎌は、なんだい?」 「…………」 隠し切れず、ワンピースの裾から見え隠れした闇色の鎌を見つけた時、冷静さが帰ってきた。 と同時に、リンの表情が人が変わったように崩れた。 「鷹の目を誤魔かすのは難しいのね~」 リンにあらぬ話し方。 やれやれとため息をつきながら、後ろに隠した鎌をズルリと持ち上げる。 すっかり侵され、闇色に変わってしまった澄藍。抵抗を見せるかのように、時折刻まれたセユエの花が澄んだ水色や血のような赤に染まるが、すぐに呑まれる。 「カーリナ君……」
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