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「ハルカ」
「どうしたの、カナタ」
いつの間にかカナタとリュウジの試合が終わっていた。カナタがラケット片手にハルカに近づいてきて隣に座った。
「私はお邪魔かな? 向こうにいってるねハルカちゃん♪」
「リンねーさん!」
リンがニヤニヤしながら疲労で地面に伏せているリュウジの方に行ってしまった。
カナタの方をちらっと見る。
その優顔に思わずハルカの顔が赤くなるが………
「カナタ、りゅうちゃんをいじめないでね?」
「リュウジも本ばっか読んでないで運動すればいいんだ」
そりゃごもっともだ。
リュウジもハルカも運動は苦手だ。だからカナタみたいに背が高くないのか?
「女の子は背が低い方がいい」
「ありがと♪」
そのときだった。血相変えたリュウジが走ってきてカナタの目の前に止まると
「はるちゃんは渡しません!!」
「早く妹離れしろ!!」
リュウジのシスコンぶりにはつくづくあきれる。リンも戻ってきて4人で話を始める。
「リュウジくん、邪魔しちゃダメでしょ?」
「リンさんは黙っててください」
リュウジは怒らせると怖い。
ハルカが一番よく知っている。
この間も似たようなことがあってカナタとリンとリュウジで大乱闘になってしまったのだ。
ラケットとボールをケースにしまい、4人は家に帰ることにした。
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