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澄みきった青空に七色の橋が架かっている。異世界では「虹」と言うらしい。
「きれーだな」
「がう」
水色の長髪、金色の瞳をしている男は傍らにいる守護神獣に話しかけた。
「平和だな」
「がぅ」
途切れ途切れの会話。
ここの世界には戦争はおろか人間すらいない。
無理もない。地球という惑星は遥か遠くにあって、自分達はその様子をジッと見守るだけ。
心眼でもみえるが手元の水晶を通してもしっかり見える。
「さて、メシにするか」
「がう♪」
立ち上がって御殿に向かう。
さらりと長い髪が歩く幅に合わせて揺れる。
守護神獣は守護神に仕える、いわば大臣のような存在。主の命令には絶対服従で決して裏切ることはない。
守護神獣………能力は神に近い。頭もそれなりにいいが人の言葉を全く発しないのが残念。
「さぁて、今日はなんにしようかなぁ………おっ」
ふと部屋を覗くと水晶がチカチカ点滅していた。この水晶は通信用の水晶。
手元にある水晶は地球のあらゆる場所を観察できるもの。
何かと思い、繋いでみると……
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