【二人の人食いと一人の吸血鬼】

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 特に心臓は堪らない、アレを口に含んだ途端全身が身震いする程の幸福感を感じる。  食べ慣れた今では心臓が一番好きな部位だ。  骨と大量の血のみを残して母親は居なくなった。  俺の腹の中に入ってしまった。  母親を食べてしまった罪悪感などひとかけらもない。  俺の胸中に溢れていたのはもっと食べたいという欲求。  一回目は肉親で罪悪感が全くなかったとは言え、流石に他人を殺すのは躊躇われる。  それでも、  タベタイタベタイタベタイタベタイタベタイタベタイタベタイタベタイタベタイタベタイ――――  だから、俺は――― ◇  私の名は赤染瞑楽(あかそめめいら)。  私はある吸血鬼を追っている。  奴のせいで私は人外の身体にされて、私が元々所属していた組織から裏切り者扱いされ抹殺指定にされてしまった。  奴のせいで私の人生が目茶苦茶になってしまったんだ。  だから、私は奴を殺す。必ず復讐と決意した。  奴を探す過程でこの街の異常な事件が気になった。  この街では最近、殺人事件が増えているという話を聞いた。
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