救えなかった時に生まれた恋

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その頃、光が堂本に向かって力を込めて殴った。 地面に叩き付けられる堂本に向かって光が再び叫ぶ。 「今のは、今この場にいない冬哉の代わりだ!!そしてこれから何があろうとも片村夏奈には近付くな!!」 地面に平伏した堂本を見たのは初めてだった。 いつも我が物顔でいたから。 今まで堂本を重いっきり殴れた人はいないと思う。 少なくとも、私は知らない。 私はそれを行った光に惹かれた。 こんな状況で、不謹慎なのは分かってるけどね。 堂本はその後、走ってその場を立ち去った。 後日、堂本は吹奏楽部を辞める事になる。 夏奈は堂本が立ち去った後も震えていた。 だけど、腑とした時、夏奈は掠れた声で 「冬哉の所に行かないと……」 と言って、私から離れて、先程見ていた方向に行こうとした。 だけど、春歌がそれを止める。 「夏奈ちゃんは待ってて。多分、夏奈ちゃんが行っても蟠(わだかま)りが大きくなるだけだと思うから。」 そう言って春歌は冬哉の元へ向かった。 「あっ、待って!僕も行く!」 藤代君もそれに着いて行った。 春歌を責めるつもりはないけれど、私は後にこの選択が、逆に夏奈を追い込み、最悪な結末に繋がる事を最初に知ってしまう事になる。
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