救えなかった時に生まれた恋

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そんな事言われたら私、期待しちゃうじゃない。 ……あなたに。 誰かにこれが知られたら、勘違い女って言われそう。 私はそう思いながら、光の家に向かった。 ―――---・・・ 幸い、町民は皆夏祭りに行っていて、会場を出た後は曝(さら)しものにならなくて済んだ。 そして桜坂公園に差し掛かった頃だった。 光が再び口を開く。 「う、ごめん。一旦ここで下ろしてくれる?」 そのあと光が口を押さえた事から、吐き気がするのだと分かる。 私はせめて公園の内部から見えないようにと、並木がある部分を選んで光を下ろした。 私が光を下ろした場所は、公園内部からは絶対見えない、知る人ぞ知る秘密の場所。 小さい頃から、隠れんぼなんかの時には利用してた。 公園内部からは見えないけど、こっちから公園は覗けるの。 去年の10月10日、実はここで冬哉が告白したのを見ていたんだ。 私はそこで光の介抱をした。 そしてそれからほんの数分後の事。
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