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「でもね……やっぱり駄目みたい……」
その言葉が発せられると同時に私は自分の目を疑った。
……冬…哉?
じゃ、じゃあ、後ろ向いてて顔が見えないけど……あの可愛い浴衣の人は夏奈!?
ちょっ、ちょっと待ってよ!!
まだ遠くで花火の音はしてるのに、こんな所に二人で……
しかも話の流れからしてこのままじゃ二人は……
私、何でこんな所に居合わせちゃうのよ!?
「だからね……」
「その先を言っちゃ駄目っ!!」
……って今私が出れば、多分夏奈は止まる。
最低でも、今この場で最悪な事態になる事だけは避けられる。
でも人として、それはしちゃいけない事なのかもしれない。
ああ……
今にも冬哉の顔から、涙が零れそう。
冬哉って、人前では絶対に涙を流さない。
実は私も冬哉から昔そう聞いただけで、実際に見た事はない。
だから多分、それを私は見てはいけない。
最初に見る事ができるのはきっとあの人の特権だから。
そう思い、私は二人から目を反らした。
その瞬間だった。
「ごめんなさい……私と……別れて……」
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