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その言葉が辺りを支配した。
私が言われた訳でもないのに、急に涙が溢れてきた。
演技の上手い人が演じる感動的なシーンって、自然と涙が出て来るじゃない?
そんな感じ……なんだと思う。
これは現実だけどね。
これってもらい泣きって言うのかな?
涙が止まらない。
私は声が漏れないように、口を手でしっかりと覆った。
私でこんなに辛い気持ちになるのなら、冬哉はどこまで傷付いていると言うの?
それは冬哉以外の誰にも分からない。
夏奈も、何でなの?
一ヶ月前の“あれ”は確かに辛かったと思うけど、あなたは冬哉に会おうと思っていたじゃない!!
誤解を解こうって。
それが何で、別れる事に繋がるのよ……
冬哉はまだ返事をしていない。
沈黙の時間は長かった。
でも、私には何となく分かった。
冬哉って、別に特別な意味が無くても、好きになった人には甘いから……
きっと……
「分かった…」
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