42人が本棚に入れています
本棚に追加
/188ページ
「瞳ちゃんっ!!」
後ろから春歌の声が聞こえてくる。
えっ!?
何で春歌が?
帰ったんじゃなかったの!?
ううん、そんな事より早く涙拭かないと。
私は裾で涙を一気に拭き取り、振り返って平然を装った。
春歌は、体力がないくせに重いっきり走ってきたようで、私の前に来たと同時に肩で息を整えた。
私は、そんな春歌にあたかも普通である事を見せ付けるように、今まで通り話す。
「どうしたの?そんなに焦って……?」
あっ、普通に接するつもりが、声の波長がオーバーに優しくなっちゃった。
でも、春歌は気付いてないみたい。
じゃあこの調子のまま言い続けよう。
春歌は息を整え終える前に、顔を上げてこう言った。
「…ねぇ……このあと……暇?」
焦って走って来たと思ったら、暇の確認?
一体何があったのだろう?
巨大な虫でも家に居たのかな?
最初のコメントを投稿しよう!