救えなかった時に生まれた恋

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「瞳ちゃんっ!!」 後ろから春歌の声が聞こえてくる。 えっ!? 何で春歌が? 帰ったんじゃなかったの!? ううん、そんな事より早く涙拭かないと。 私は裾で涙を一気に拭き取り、振り返って平然を装った。 春歌は、体力がないくせに重いっきり走ってきたようで、私の前に来たと同時に肩で息を整えた。 私は、そんな春歌にあたかも普通である事を見せ付けるように、今まで通り話す。 「どうしたの?そんなに焦って……?」 あっ、普通に接するつもりが、声の波長がオーバーに優しくなっちゃった。 でも、春歌は気付いてないみたい。 じゃあこの調子のまま言い続けよう。 春歌は息を整え終える前に、顔を上げてこう言った。 「…ねぇ……このあと……暇?」 焦って走って来たと思ったら、暇の確認? 一体何があったのだろう? 巨大な虫でも家に居たのかな?
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