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「だーめだ、部外者は出て行け」
冷たく言い放つ永倉。
「部外者ではありませんっ!入隊希望です!」
「んじゃあ出直して来い」
「永倉先生が稽古をつけているとお聞きしたので、本日伺ったのでございます!」
必死の形相で言う彦次郎。
「永倉先生に、自分の腕を見ていただきたいのです!」
彼の目は真っ直ぐに永倉を見つめていた。
「……お前、自分が新撰組に入れると思ってんのか?」
「自信はあります」
即答する彦次郎に、ため息交じりの声で言う。
「あのなぁ……お前のその背丈で浪士達と対等にやれるわけねぇだろ」
「……」
黙り込み、永倉をじとっとした目つきで見る彦次郎。
「……なんだよ」
「いえ、永倉先生も自分と同じぐらいの背丈だと思うのですが」
「なっ!」
「ぶはっ!」
二人のやり取りを聞いていた沖田が、彦次郎の言葉に突然吹き出した。
「アハハッ、それ禁句ですよ~」
「えっ、あ、も、申し訳ありませんっ!
自分は決してそんなつもりでは……」
笑う沖田に言われ、彦次郎が慌てて謝罪する。
「総司、お前笑いすぎだ……」
青筋を立てた永倉に睨みつけられた沖田だったが、悪びれる様子も無く、すみません、とくすくす笑いながら軽く謝った。
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