6/53
前へ
/196ページ
次へ
――まるで、蛇。 その顔を見た鶴乃は不意にそう考えた。 「武田君……ちっと言い方を考えんか」 近藤がやんわりと咎めると、武田は軽く頭を下げた。 「……局長」 鶴乃が近藤に声をかける。 「監察方の仕事の件、保留させていただけませんか? 助勤の皆さんには納得していただくべきだと思いますので」 「ほう……私達を納得させられる自信があるのですか?」 「武田っ!」 冷やかす武田を土方が一喝する。 その隣で、近藤がため息をつく。 「……わかった。その件については保留しよう。 ……新八、武田君。鶴乃のことを納得したら、私に伝えるように」 その言葉を聴くと、永倉は無言で席を立ち、部屋を出て行った。 「ちょっ……ぱっつぁん!」 最初に声を上げた大柄な男が彼の後を追う。 その男に続いて、武田も部屋を後にした。 .
/196ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1310人が本棚に入れています
本棚に追加