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それからも柏木は相変わらずの二重人格を思い切り発揮していた。
あたしはというと、就業中は柏木にほぼかかりっきりになってしまうので、毎日残業が続いていた。
肝心の隆司には、まだ連絡していない。
隆司の中ではもう終わっているのに、また会ってくれるのだろうかと、つい色々考えてしまう。
愛美にはあんな大口叩いといて…。
自分はこんなに弱虫だったのだろうか。
「あ~!もうヤダ!」
社内に残っている人間が他にいないこともあって、あたしは声を出して頭をグシャグシャと掻きむしった。
ブー、ブー。
携帯が鳴り、ディスプレイを見ると愛美だった。
「もしもし?」
「あ、美咲?忙しいとこごめん!ちょっとお願いがあって…。」
「何?どうしたの?」
「それがさ、明日合コンがあるんだけど、女の子が1人来れなくなっちゃったの。美咲、来てくれない?」
合コン!?
合コンなんて行ってる場合じゃないんだけどな…。
「彼のことケジメがついてないとこ悪いんだけど…タダでご飯が食べれると思ってさ、ね?」
「……。」
結局、断りきれずに行くことになってしまったのだった。
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