人生最悪の日

4/14
前へ
/189ページ
次へ
ワカレテクレナイカ? 沸かれて暮れな医科? WAKARETEKURENAIKA? わカレテくれ―――? …………………………。 あたしは、何を言われたのか理解することができず、可愛く首をかしげたままの状態で、固まっていた。 「――本当にごめん!俺が全部悪いんだ……。美咲には俺なんかより、もっといい男が似合ってるよ……。」 隆司は、頭を下げて謝っている。 けれどあたしは、固まったまま動けずにいた。 「―――み、美咲……?」 頭がついていかない。 今日、あたしはプロポーズされにここに来たんじゃなかったっけ? でも目の前にいる恋人は、あたしに、 「別れてくれないか。」 そう、言った……。 「――嘘、でしょう?冗談だよ、ね……?」 やっと口から出た言葉は、ありきたりなもので、ただ言われた言葉の意味を確かめたかった。 「……俺は、本気だ。」 「………。」 あたしの顔から、可愛い笑顔が剥がれおち、みるみる血の気が引いていった。 ―――隆司は、あたしに別れて欲しいと言っている。 その時あたしは、自分が人生最大のピンチに陥っているということに、やっと気付いた。 .
/189ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1260人が本棚に入れています
本棚に追加